坂出第一高等学校 香川県 私立学校 食物科 ラグビー オープンスクール

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2023/05/02

穴吹エンタープライズ株式会社 高松国際ホテル 唐渡 由真(平成5年度卒業) NO.11

穴吹エンタープライズ株式会社 高松国際ホテル 唐渡 由真(平成5年度卒業) NO.11

人との出会いに感謝して ~学ぶことより欲をもつこと~

<profile>勝賀中学校出身 卒業後、神戸オリエンタルホテルへ就職。阪神淡路大震災後は神戸西神オリエンタルホテルへ異動。 2005年からは同ホテルのバイキングレストラン プライムタイムの料理長就任。2009年からは鉄板焼きステーキハウスの料理長を就任した。2010年穴吹エンタープライズ株式会社 高松国際ホテル入社。2012年から高松国際ホテル 洋食調理部 副料理長に就任した。令和4年 秋の褒章『黄綬褒章』を受章した、本校西洋料理の講師を務める松原 勉総料理長と共に香川の食材を活かしたフレンチ料理 “さぬきフレンチ” を提供し、日々香川の味を追究し続けている。

【公式】高松国際ホテル

<受賞歴>

1996年 96’大阪国際グルメフェアー 西洋料理コンクール銅賞

1999年 全日本司厨士協会 関西地方兵庫県本部主催

第16回料理コンクール トック・ブランシュ国際倶楽部関西支部会長賞

2002年 全日本司厨士協会 関西地方兵庫県本部主催 第19回料理コンクール 兵庫県知事賞

2002年 第10回 カナダ産食材を使った料理コンテスト 全国大会 フードテックス特別賞

2004年 2004 料理オリンピック 個人の部カテゴリーA 入賞(ディプローム)

2005年 05’ 食博覧会・大阪 西洋料理コンクール 銅賞

2013年 高松市長 感謝状

2013年 全日本司厨士協会 四国地方香川県本部主催 料理コンテスト 創造都市賞

 

一生の友ができた場所

坂出一高の食物科に入学を決めたのは『美味しいものを食べれる』という楽観的な理由だったかもしれません。料理を作ることは好きだったので、自然と料理業界への関心が大きくなったと思います。調理実習はいつも楽しかったです。私の時代は食物検定に重点を置いていて、他の作品と違いを生むために日頃使用しないパイナップルを使った料理に挑戦して好評をもらったことはよく覚えています。またホテルでの校外実習では初めてトリュフを食べさせてもらい、イメージと違った味に驚きました。(当時はまずく感じました。(笑) ) また西洋料理の実習では本物の料理人の仕事をみたり、気軽に話せたりできて『すごいなぁ!』と圧倒された記憶もあります。今思い返せば、こんな恵まれた環境は他校にない食物科の魅力だと思います。現在、私も調理実習を担当させてもらうことがありますが、生徒たちを見て、我々の頃より優秀と感じます。ただ引っ込み思案というか大人しい印象もあって、『質問とかないの?』って思うところもあります。私の頃は実習が終わった後にシェフに聞きまくっていましたよ。各ホテルの料理長クラスのシェフと話す機会も現場に入るとなかなか無いことですから、生徒たちはその有難さは知っておくべきですし、そのチャンスを有効に使って欲しいですね。実習以外にも、修学旅行や文化祭、すし屋でアルバイトしたことなど、とにかく毎日が充実した高校時代を過ごすことができました。共に過ごした同級生は今でも交流がありますし、今では調理業界で仕事を続けてこれたのは同じ業界で頑張っている同級生の存在があるからでもあります。数多くの高校から坂出一高の食物科を選んだ者同士、高校時代から大人になった今も一生の友ができた場所でもあります。

 

努力することで生まれる人との繋がり

卒業後は、神戸のホテルへ就職しました。「絶対に辞めない」という覚悟のかたちとして、初任給で高価な包丁セットを購入しました。現場は今の時代とは違って過酷な現場だったと思います。ただそんなことも忘れるくらい毎日必死で働きました。また仕事では業務として単調になりがちなところもあったので、時間を見つけては、個人で料理コンテストに沢山挑戦しました。参加したことで同世代のレベルを知ることも出来ましたし、他の現場の仕事を知れることができたのは刺激になりました。『今のままでは通用しない。』なんて思いながら、料理本を開いたり、新しい料理を考案したり、知らない食材を探したりしました。そんな努力の成果もあって2004年にはドイツで開かれた料理オリンピックに参加することもできました。コンテストへの挑戦は技術向上が大きな目的でしたが、結果的には多くの人との繋がりを持つことができました。またそれこそが大きな財産となりました。

 

料理業界を目指す後輩たちへ

現在、副料理長として働くなかで、今の若者に対して『弱さ』を感じるようになりました。世の中の流れで調理業界も変わってきました。以前のような労働時間の長さはなく、技術はレシピ化され、誰でも作れるような現場は一見働きやすくなってきたように思えますが、逆を言えば、時間が少なすぎて技術や調理感の無さを感じます。『仕事』と『技術習得』とは別の物とも言えます。特に若い頃は自分のやり方に固執せず、意欲的にコンテストや他のお店に食べに行くなど、自分の視野を広くして欲しいです。私自身もそんな若者に目標となれるような魅了的な料理や言葉をかけられる自分でありたいと思っています。坂出一高の皆さんはその素質を十分に持っていると感じますし、それに応えられる恵まれた環境下にいます。「何年後には、自分はこうなりたい!」という理想や欲をもってください。一日でも早く現場に入って必要となる力を追い求めることが一番の近道です。皆さんなら可能です頑張ってください!