~医食同源~ やりがいを感じれる毎日
<Profile>坂出市立東部中学校出身 高校卒業後、一般財団法人積善会(岡山大学病院内)メディカルフードセンターに勤務。
「えらいところに入学してしまった!?」
食物科では料理に関心の強い人が数多く入学してきますが、自分のきっかけはバスケットボール部の監督に声をかけていただき、ここでバスケットボールがしたい!と思い入学を決意しました。普通科とも迷いましたが、『料理が作れたらいいなぁ』とか、『包丁が使えたら格好が良いなぁ』ついでに資格も取れるなら将来「何かの役に立つだろう。」なんて安易な気持ちで食物科を志望しました。入学して同級生が一流ホテルとか有名料亭に行きたいという進路の話を聞いて「えらい所に入学してしまった。」と正直、後悔しました。(笑)そんな感じでまったくの初心者からのスタートでした。
華やかなイメージとかけ離れた食物科の世界
入学前は料理を楽しく作る食物科を想像していたので、授業は苦難が続きました。初めての調理実習でメチャクチャ怒られたことや、夏休みに実技試験を合格するまで毎日練習に来たことなど、多くの課題を次々と要求された苦労は今でも覚えています。専門教科の座学においても、もともと関心が薄かったこともあって、話が理解できなかったりもしました。それでも不思議と食物科が嫌いになることはありませんでした。担任の先生と話したり、クラスの友達とバカな話をしたり、色んな支えのお陰でやっていけたのだと思います。特に自分にはバスケットボール部の存在が大きかったです。食物科と部活との文武両道を習慣にしてきたことで、徐々に料理に対する向き合い方や責任を感じることで『やりがい』という価値観を見つけていくことができたと思います。ただコロナウィルスの影響は大きかったです。感染防止のために、楽しみにしていた食物科イベントや調理実習が制限されるなど、当たり所の無いストレスや我慢を強いられました。それでも限られた環境の中で最大限取り組んだ苦労は今の自分の我慢強さに繋がっていると思います。
食事=命の大切さを知れる
現在、毎日1500食~1800食の患者さんの食事を提供しています。アレルギーを持った患者さんや一人ひとりの患者さんの病態や症状に合わせてメニューや形態を作り分ける必要があります。食材の入れ間違いや調味料の配分を間違えていないかなど、とても気を遣う現場です。また大量調理に加え、体が弱っている患者様に提供する食事の為、衛生面にも十分に気を付けながら作業する必要があります。座学で学んだことの重要さと実習で学んだ厳しさを毎日『当たり前』として求められる場所でもあります。大変なことも多いですが、患者さんを食事で元気づけられる。1年生の頃に実習担当の大西先生から「料理人が医者と同じ白衣を着るのは、同じ命を預かる仕事だから。」と言われた言葉が今一番刺さっています。『やりがい』よりも『使命』に近い今のこの仕事に誇りをもって毎日頑張りたいです。
食物科で学んでいた『伝えることと聞くこと』の大切さ
岡山大学病院で働かせてもらって三年目になりました。ホームページを書かせてもらっている今、振り返ると時間の流れが早く感じます。高校生の皆さんは私以上にそう感じるのではないでしょうか?高校生活では何事も全力で楽しんだり、何かひたむきに取り組んだりしてほしいです。まだまだ青二才ですが、現場に出て大切と思ったことがあります。それは『伝えることと聞くこと』の大切さです。これは食物科3年間の調理実習で一番要求されたことでもあります。社会人の今なら食物科の厳しさが理解できます。料理の現場だけに言えることではありませんが、わからないことや困ったことがあれば上司の人に伝え、教えてもらったことは三回目までに覚えることができれば、どの職場でも大丈夫だと思います。最初のうちはなじむのが大変だと思いますが、勇気を持って人と接し、苦手な人ほど話に行くなど、愛嬌さえあれば大丈夫です。(笑)自分の意思をしっかり持ち、これからたくさんの経験や選択をしていってください。